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[1340] Re:安全への思い返信 削除
2024/2/29 (木) 18:30:44 HIJ
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初めてベンツのオーナーになったとき(W201、190シリーズ)、俗名「小ベンツ」なのに20kmでも100kmでも変わらぬ安定感にビックリしました。いい加減に、あるいは大雑把にハンドルを切ると反応せず、場合によっては戻され、正確な操作が求められました。アクセルをドンと踏み込むと、「それでいいのか」と聞き返してきたあとに、ドーンと加速していきました。すべてアナログで仕込まれていた「味」です。逆にコーナーに強い車ではありませんでした。どっしりと直進していきました。運転手が車に試されている思いでした。この車の進みゆくところが「道」でした。示されるものが常に「最善」でした。ベンツの「哲学」を見た思いでした。10万キロ乗りました。

W202になると、コーナーも強くなりました。C280スポーツラインだったこともあるかもしれません。この直6は、カムがのってくるのを感じられる、とても官能的なエンジンでした。BMWのシルキーシックスにも負けないと思います。190ほど頑固ではないのが寂しくも思えましたが、それでもそれでも大したものでした。この車に乗っていた頃は、極めて仕事が忙しく、帰宅時は前の車のブレーキランプが赤信号に見えて急ブレーキを踏んだことが何度もありました。でも一度たりとも難はなく、無事帰宅しました。そのつど、車に「助けられた」と確信していました。20万キロ乗りました。この二台は、まさに「安全」な車でした。車が人間に安全な運転を要求し、かつ人間のエラーを人間の内側から矯正してくれるのでした。

その後、同じくW202のC43(AMG)に乗りましたが、これは力強く速い車でしたが、上記の「味」はかなり薄くなっていました。私にとっては、そのいみで「薄味」のベンツでした。豪華かつ強力でしたが。余談ですが、交換したこの車種用のエナペダル製ビルシュタインのショック(500ccのペットボトル位の太さ)は、素晴らしかった。あれはいまでも欲しい!台風による冠水で、走行中ウォーターハンマーを起こし、10万キロで逝ってしまいました。傘を差してレッカー待つ間、水面と化した路上でトラックが通るたびにゆらゆらと漂いながら点滅する、愛車のハザードが忘れられません。ちなみに、ドアが5cm水に浸かっても、内側から開けるのにはかなりの力がいります。水圧は恐ろしいです。その「教訓」から、次の車はカブリオレに!!!。そこからBMWライフが始まりました。

このように、旧き良きベンツは、そのものして人馬一体の安全性が目論まれたと感じています。それが時代と共に希薄になってきました。なんどかボディの小さな車種ばかり試乗しましたが、私にはベンツの「良さ」が見えにくくなってきていました。結局BMWから離れることなく、BMWには合わせて20万キロは乗りましたし、いまでも乗っています。

そこへ登場したCL(元わんこ号)です。小ベンツへの感嘆から始まったベンツ人生でしたが、なんと中間項をすっ飛ばし頂点の、しかもパーソナルクーペのCL! 仕上げには充分すぎるものです。

いまや、時代はアクティブセーフティ。かつてのように、ドライバーの内側から共に働いて「達成しゆく安全」ではなく、外側からドライバーを監視することで、圧力により「確保される安全」の時代です。前期CLは、まさにこの時代が到来する前の「最後のベンツ」。さて「安全」について、なにを感じさせてくれるでしょうか。デジタルデバイスを通すことでは得られない、匠のセンスと技によって内部に埋め込まれた「安全性」があるような気がするのですが。

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