シングルアンプ道場破りオフ


50BM8 6V6 2A3 300Bシングルアンプ ppアンプをを聴き比べる

2008.11.16

こいしさんが 色々と造られたアンプのお披露目を兼ね 我が家のミニワンとの聴き比べ
そして私の300Bと2A3シングルアンプの対決を行いました。
またmeiteiさんの6V6とこいしさんの6V6どおしの聴き比べも行いました。
我が家の300BppとこいしさんのEL87ppとの聴き比べも行いました。

違う部屋で自作アンプを鳴らす。こいしさんにとっては 不利な状況にもかかわらず 
我が家ではアンプのクオリティーの高さ 、完成度の高い音を披露され 一同ビックリ!
膨大なエネルギーと試行錯誤 経験の蓄積に敬服しました。

特に2A3シングルアンプは 出力トランスが3000円台と激安で 私の アモルファストランス(2個で10万円)の
OPTに挑み見事なネイロで 圧倒しました。 お得 を目指す私としては恥ずかしい想いです。

一度にこれだけ多数のアンプを自宅で聴けオフは大成功でした。



いつも私の好きな 我が家で得意なソースをかけてしまいます。

アンプはスピーカーとペアで評価されるべきでしょうから アンプを持ち寄る
方は不利です。その上 ソースまで決められてはつまらないと思いまして
今回は 掲示板 であらかじめ 各自の課題CDと言うか試聴CDを持ち寄り
ました。一人3枚

左の列がこいしさん 真ん中と右が meiteiさん それぞれが どんな音
どんなソースで シングルアンプ ppアンプの持ち味を活かそうとしているのか?
うかがい知れます。

道場破り 対決 と言っても親睦なのですが アンプを造った本人からすれば
音に対してはマジです。微妙な駆け引き やりとり がなされました。
こいしさんは 私が軽く言った 「シングルアンプとは言え SPは15インチ
ウーファーだから 低域がね・・ウーファーが鳴らないとね・・」
とか言われて アンプのセッティング見直しをされたそうです(^o^)

車のサーキットオフで 事前にタイヤをSタイヤにしたり バネレートを変えたりして
準備するのに似ています。

SPが自作SP 果たしてどんな音がするか分からない状態での道場破り
自作アンプを存分に鳴らしたい と思う気持ちが集合しました。

ご覧下さい こいしさん meiteiさん サムヲさんが持ち込んだアンプ陣です。
それとEVのスピーカー

私としましては 自宅に居ながら 自分のシステムでアンプの試聴ができるのです。
こんなに有り難いことはありません。
群馬県から東京まで来てくださる。感謝するばかりですm(_ _)m

ところで前列のアンプはこいしさんが造られたアンプです。
シャーシーから自作 各部に工夫がされています。
私みたいにキットを造っただけ 先輩に教えてもらって造ったのとは違います。
高いパーツに頼らず CPの高いパーツと調整の追い込みで音を造ってきて
いたのでした。


2A3シングルアンプです。ご覧下さい トランスのケースに見えますが
100円ショップの鉛筆ケースです。トランス下の白い蓋がピッタリと合い
収まりが良い。

それと小さなOPT 1個3700円だそうで 私の5万円トランスに
比べて1/10のお値段。シングルアンプはトランスによって低音が違う。
経験しているので 見た目から 安心していました。
「まあ それなりの音はするのでしょうけれど 私のは300Bだし
 トランスも良いし」

これが 音を聴いて大変なことになるとは・・・ 
まずはエレキットのシャーシーを使った 50BM8シングル。
ラジオ用の小さな激安トランスをつかったトランス結合。
ヒーター電圧が50Vだから50BM8だそうで、AC電源の100Vを
AC点火として そのまま50V×2で使っていてトランスを省いている 
そうです。総額1.5万円で造ったそうです 激安。

トランス結合はレンジは狭めてもその分音の密度が高く強い音 だと
想像していましたが その通りです。
古めのポップス ボーカル ジャズを心地よく聴かせるのを目的とした
アンプ。大型SPでクラシックを雄大にならす爽やかな音とは正反対。

でも 聴いて感心したのは中域の美しさです。中高域は控えめなれど
声にイヤミやクセが少ない。meiteiさんは この音をとても気に入られて
いました。

たった1Wちょっとで1.5万円のアンプ 弦楽器やボーカルが強くしっかりと
再生されます。こいしさんの造るアンプは 目的がしっかりとしているので
した。

この音を聴いて ヤバイ気がしてきました(^_^;)


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こいしんさんの解説
「50BM8に使っているトランス結合のトランスは?
  秋葉原の東栄変成器の物になります。
  お値段は2000円以下です。
  http://www1.tcn-catv.ne.jp/toei-trans7arc-net/」
だそうです。


さて6V6アンプ対決です。

画像は前に撮影したものですが meiteiさんの自作アンプ
お話によると ゴージャスな素子をつかい リッチでまろやかな音
だそうです。
前回のオフ で聴いたとおり 濃厚でまろやかな音。イヤな音がせず
古い録音 音がいまいちな録音でも 上手く聴かせるアンプです。

低域はややボリュームがあって 軟調ですが 私の300Bの柔らかさとは
違う感じで変な膨らみではありません。
こいしさんの 6V6シングルアンプ

シャーシーから全て自作。 WEの航空機用の球を前段として使い
6V6の音を考えて選択されたそうです。

ミニワンとのバトルを前提にして来られました。
私の耳ではワイドレンジで音が後方左右に広がる ハイファイです。
ミニワンは音の透明度や素直さは良いですが 若干細めで神経質。

それに対して 6V6の音なのでしょうか 中低域がしっかりと安定感があり
変な響きやイヤミが抑えられています。
よくぞここまでハイファイで万能選手に音を仕上げたと感心しました。
抜けの良さでミニワン でもその他は この6V6が勝っていた様です。

ううっっ  早々に一本取られてしまいました。
(ミニワンは材料費からこのアンプよりかなりゴージャスなのに)
それにしても とてもまともなバランスで良い音です。


こいしさんのコメント
「6V6アンプに使っている出力トランス
  こちらは、ばざーら製トランスになります。
  秋葉原では内田ラジオで取り扱っています。
  こちらは元ラックスのトランスを巻いていた方と
  聴いたことがあります。

  ちなみに、こちらで扱っているトランス結合に使える
  1:3トランス(ラジオ用)もお勧めです。」

とのことです。

さて 次は2Wクラスから 4Wにパワーアップ
2A3は中国製ですが 見た目は殆ど300B 造りが300Bに準じている
そうです。

出力トランスは3700円。アンディクス・オーディオという所で売っているそうで 自分の
アンプの為に造られたトランスだそうです。
こいしさん曰く「品番:6607Sです。新たに購入されるなら
  OPT−S14の方が良いかと思います」とのことです。

前段は6BM8でパワードライブ。AB級近くまでドライブするそうです。
ふ〜ん(私は分からない(^_^;))

さて 聴いてみます。
アナログのイタリア合奏団 CDでマライヤキャリー ブリフォニックレコードのピアノ
ウイントンマルサリス 


   うわっ ・・・ 凄い ・・・ う〜ん ・・・ ウルウル(T_T)

何てバランスが良いのでしょう。サン・オーディオの2A3シングルのまろやかさとも
違う爽やかで抜けが良く 声がしっかり。低域は柔らかいものの
量感たっぷり それがイヤミにならず、美音の中域を濁さない。しなやか。
それでいて力感がかなり有るのにビックリ。
私が造ってもらったロフチンホワイト回路の2A3の美音ではないけど
細すぎたり 神経質にはなっていません。
また15インチウーファーに負けない強さと言うか 豊かさがあるのです
たった3700円のOPTなのに。
素晴らしい完成度の高さ。独特の世界を完成させていて音楽に引き込まれました。
凄い よくぞここまで音をまとめられたと思いました。

声の微妙なニュアンスが伝わってきて凄い。
不覚にも PPMのボーカルで目頭が熱くなってきてしまいました。

その後 私の300Bをかけました。荘厳 硬い 押し出す力 低域の締まりは
良いですが材料だけ奢っただけで トータルのバランス まとまりでこいしさんの
2A3に負けていました。それが1/10の値段のOPTを使っていながらです。
お得で ノックアウト!

こ「OPTは確かに物量だけどそれが音色の良さとは直結しない」

回路を追い込んだ人の言葉 そして出している音を聴いて 同意するばかり
でした。

昼食を挟んで PPアンプ対決になりました。

こいしさん 自作の EL86PPです。
ご覧下さい シャーシーも自作でマランツの#8風デザインが
洒落ています。

こいしさんの解説から
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 EL86/6CW5になります。
  メーカはムラードになっています。

  アンプの構成は、6DJ8−6FQ7−EL86です。
  6DJ8は旧テスラ製で、単段プリアンプになり、
  6FQ7はRCA製で、古典型位相反転回路になっています。
  パワーアンプとしては6FQ7-EL86で構成可能ですが
  多少ゲイン不足になるので前段プリを追加しています。

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塗装はエナメル塗装 乾きにくく傷が付きやすくて苦労したそうです。
下の写真のとおりパイロットランプの代わりに 裏から青色LEDで
雰囲気を出しています。車のネオン管とはちょっと違う(^_^)
音は流石にPP 低域の余裕 パワー感がシングルとは違います。

歪み感も少なくつるっとしています。シンバルもしっかり ベースも締まる。
何の欠落感もありません。
石アンプに負けない万能選手だと思います。

ただ 何だか毛羽立ちと言うか 響きというか シングルアンプのザワザワした
細かい音が少なくされている感じがします。

こいしさんは 直熱3極管の抜けの良さの代わりに細い音 弱い音が気になる
みたいで 全アンプに音の密度感 強さ が感じられます。それでいて中域が
綺麗なのが特徴。このPPアンプもそれを感じました。


ppアンプの競演になったので しばらく使っていなかった
KT88ppを聴きました。

那須さん設計 meiteiさんの自作です。
スケールの大きさ レンジ感では 一番。
中域が弱く 声とかがシングルアンプに及ばなく感じるのと
中低域の強さが今ひとつですが オフみたいに人がが多く入り
音量が上がると俄然本領を発揮します。

やや控えめの中域が大音量の時に五月蠅さを感じさせず 
マッチするようです。

普段は今ひとつだと思っていたのですが 今日はなかなか良かった
です。3極管接続で若干しなやかさと弱さがある?
300BppにこのKT88のスケール感 低域のソリッドさ レンジの広さ
そして 6CA7ppの中低域があればいいのに(^_^;)
私の300Bppは 左の 上杉さんの設計した TAP25 です。
管球王国に製作記事が載っていました。
ヤフオクで中古をゲット。
出力管は中国製の300Bで NFを11dBと無帰還に切り替えられます。

当初4338で使った時は 300Bシングルに負けない美音で、
力感もあり 今まで6CA7ppやKT88ppで感じていたppの弱点が
なく 爽やかで切れが良く 響きの美しい音がでて感動しました。
ただ 低域が軟調で多過ぎに感じました。
自作SPにしてもやはりその傾向は残り 畏れ多くも 上杉社長さんに
質問
させてもらいました。

本来300Bが持つ音の持ち味を活かした優れたppアンプだと思います。

しなやかで柔らかい 音が前に出る強さより繊細さ 響きの良さが魅力です。
ただ 多極感アンプの強さや締まり 素直さとなると 違うかもしれません。

今回これだけ多くのアンプを聴かせてもらって 自分のアンプの音がよ〜く
分かりました。経験値は財産だと感じています。
さて前回の業務用アンプ試聴オフで 一桁万円激安業務用アンプと
ミキサーの実力を遺憾なく発揮させ驚かせてくれたサムヲさんの番です。

EVのPA用20cm 2way ホーンを使っているのが魅力。

プラスチックのボディーで振動しているのですが 音は極めてまともです。
レンジが広いとかは有りませんが 音の張り出しがよい。

ただ 真空管アンプだとツイーターのレベルが3dB〜4dBくらい高く感じ
ました。遠くになるほど高域が減衰するのを補正するように設定されている
様です。 至近距離で球アンプで鳴らすのなら アッテネーターを入れて
聴けばバッチリになりそう。ダイナミックジに全く問題が無いのが素敵です。

その後 クラウンのD75で鳴らしたら ハイ上がりの感じが減ったのが
不思議です。しなやかさ 繊細さ 柔らかさ 響きの良さより 鮮度の良さ
ダイナミックさ 音の動きの速さを求める方には PA用とはいえ 家庭でも
充分に楽しめるSPだと思います。
サムヲさんのお得系への拘りには 私も負けてしまいそう。
さて 次は 2万円弱の ウルトラ激安マイクアンプ と
クラウンのD75を使っての試聴です。
D75は 方チャンネルだけを 左右のモノラルアンプとして贅沢に
使います。D45の通常使用に比べ かなりパワフルです。
D45では頑張って鳴っている感じが 楽に鳴っている感じに変化。

正直 低域のしまり 鳴りっぷりの良さに 今までの球アンプは
及びません。また私の球プリを通さないためか音が素直で脚色が
少ない感じ。音場が広く感じるのも良いです。

ベイリンガーの球プリのお値段は犯罪的です。
それなのに 石だけの増幅と 球アンプの増幅のブレンドができる
のです。画像での 右二つのボリュームを右に回すと真空管アンプを
通した音がブレンドされます。左に回すと真空管アンプの音が入らない。

右にまわすと倍音が増えて 臨場感が豊かになります。若干ハイ上がり
になる。球アンプの響きがどの様に音に関与しているか如実に分かる
凄い装置です。出入りがバランス接続。ゲインが高いのはありますが
CDPから直接D45単体で鳴らすより 音が整理されまとまり 密度感が上がり
若干しなやかになる感じです。プリの効果が感じられる。それでいて素直、
それで1万円ちょっとか ・・・

これまた参りましたm(_ _)m
  オフの最後に 石アンプの音が非常に良いのは分かりました。

最後に先程私の目頭が熱くなるくらい感動した こいしさんの2A3シングルは
どんな音だったのか? 再度聴かせてもらいました。

凄く柔らかい ソフトな音。それでいて 音の欠落感は殆どない。

何よりも ボーカルのニュアンス まろやかさ 口の形が分かるような
繊細さが球アンプの魅力でしょうか。
それと音が全部均一に出てくるのではなく 出るべき音がSPからダイナミックに
前面に出てくる立体感 これまた良くできた球アンプの魅力でしょうか。
NFが少ないのもあるのかもしれません。

D75はお安いアンプ それで石アンプとくくっては失礼なのは承知しています。
こちらが身構えて 球アンプの良さを認めようとするくらい 良い音だったのだと
ご理解下さい。

石アンプしか聴いたことがない方。球アンプは 良い音だなぁ と感動される
何かがあるのです。
忠実な音の再現だけでなく、CDになって失われた 録音ブースで聴いた時の音の
生々しさ、それを復活させてくれるような 力があるように感じます。

私の自作SPも 多くの方に聴いてもらい 色々なアンプで鳴らすことによって
バランスが取れてきました。JBLの4338をリファレンスにしたのも大きいですが
ウーファーの試行錯誤とネットワークとの格闘によって それぞれのアンプの持ち味
を引き出せる音になってきたと思います。

オフを開かせていただいて 多くのメリットを頂戴していることに感謝しています。

 


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