| ▼ 好事家さん
釈迦に説法かもしれませんが、MCトランスの基本的な
使い方について記録として残しておきたいと思います。
MCカートリッジの出力インピーダンスは、大きく分けて
ロータイプ(L)とハイタイプ(H)のものがあります。
Lのインピーダンスは3Ω程度でORTOFONが有名で、Hは
30〜40Ω程度で国産カートリッジが多いようです。
ただし、実際の出力インピーダンスは必ずしもこの値に
なっているとは限らないし、厳密なインピーダンス・
マッチングも不要なので、LかHのどちらに近いかで判断
すればよいでしょう。
次に、MCトランスの入力インピーダンスの表示ですが、
3Ωか40Ωになっているものが多いです。
これは、上記のLかHに対応した表記であり、MCトランス
単体の本当の入力インピーダンスは出力負荷抵抗により
変わります。
また、MCトランスの昇圧比の2乗がインピーダンス比に
なるので、これらの関係は以下のようになります。
Hタイプ(10倍)
負荷抵抗 入力インピーダンス
4kΩ → 40Ω
10kΩ → 100Ω
47kΩ → 470Ω
Lタイプ(昇圧比約36倍)
負荷抵抗 入力インピーダンス
4kΩ → 3Ω
10kΩ → 7.7Ω
47kΩ → 36Ω
したがって、一般的なフォノイコライザの入力インピー
ダンスは47kΩになっているので、このときHタイプの
MCトランス入力インピーダンスは470Ωになります。
MCカートリッジDL103Rから見ると、出力インピーダンス
14Ωの約34倍になっていますが、推奨負荷が100Ω以上
を考えると妥当な値だと思います。
好事家さんは、MCトランスの負荷を10kΩに設定されて
いるようですが、一次側入力インピーダンスが100Ωに
なるので低めギリギリの設定ですね。
音質を調整する手法として、MCトランスの入力インピ
ーダンスを変えて、MCカートリッジの針に掛かる電磁
制動のコントロールがあります。
MCトランスの入力インピーダンスを低くすると、電磁
制動が強くなって、音の抜けが悪く音量が小さくなる
傾向があります。
逆に入力インピーダンスを高くすると、低音の量感が
少なくなったり、高域のピーク感が気になることが
あります。
MCカートリッジは、これらのことを考えながら調整
することで音の変化を楽しめるのも魅力的ですね。
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