とても褒めてくれる患者さん


歯科治療で多くの患者さんと触れあいます。最初から直ぐにコミニュケーションが取れる方もいらっしゃれば
そうでない方もいます。上手く疎通が出来なくても、ある時から急に疎通が上手くいって、他の人よりずうっと
親しくなってしまうこともあります。そんな時、とても嬉しくなります。

正直、コミニュケーションが上手く行くにせよ、そうでないにせよ、印象的な患者さんってのはどのドクターにも
いると思います。気になって仕方ない人、あまり治療でも係わりたくない人、会うのを楽しみにしてしまう人・・・

こんな方がいらっしゃいます。とっても褒め上手、もしかしたら褒め殺しとも言える人

60才くらいの女性の患者さん。Tさん。

働き者で、気っ風がいい。いつも笑顔で頼もしい感じがします。自分に素直で、性格が明るくて好感をもたれる
タイプといえるでしょう。朝4時に起きて、トラックを走らせて仕事をされているそうです。

そのTさん、ちょっとだけ、治療に対して褒めてくださるのが多いんです。
入れ歯を入れて、まだこれから調整しなければならない時でも、

 Tさん 「いや〜、凄い。ピッタリだわ〜。いいわ〜。これなら何でも噛めそう。先生いいですわ〜」

 私    「あの、ま、これから調整しますから、もっと良くするつもりですので・・・」

 で、ちょっと調整すると

 Tさん 「これまたビックリ、先生前のよりずうっといいですよ。これで、また一晩お泊まりすれば(この方は
      最初義歯に慣れるために装着してから最初のうちは、義歯を入れて寝るそうです。それをお泊まりと
      名付けています)完璧だわ〜 あはは」

 私   「痛かったら、外しておいた方が傷がつかなくていいかもしれません。ね、痛かったら無理しないでね」

 Tさん 「大丈夫、先生が造ったんだから、大丈夫。まず 良かったわ〜」

 私   「(そのまだまだなんですが)・・・あ、ありがとうございます・・・」


とまあ、いつもこんな感じなんです。例えば義歯が壊れて痛くなってこられても、まず最初に褒めてくださる。
当然、私もイヤな気持ちにはなりませんが、流石に落ち度があったりして、褒め殺し状態に陥るのです。

こそばゆくて、何と反応していいか困ってしまいます。それと同時に、かなりプレッシャーがかかってきます。 
下手なことは出来ません。ついつい、目一杯頑張ってしまいます。これも、患者さんとしては、ドクターを真剣に
動かすお上手な作戦かもしれません。勿論、Kさんは、意図してやっているのではないのです。
人生の先輩って感じですね!

 Tさん 「ほれ、これ沢山もらったから持ってきたわ。多くても腐っちゃうから・・ははは。」

と果物とか渡されます。何もモノが欲しいのではないけれど、恐縮して治療にあたらさせていただくことに
なるのです。暖かさが伝わってくる患者さん、ほのぼのとして心が和む時です。