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原 健久 院長の独自取材記事

原デンタルクリニック

(東大和市/上北台駅)

最終更新日:2020/04/17

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自分自身の歯を自分自身で治療したというユニークな歯科医師がいる。東京都東大和市にある「原デンタルクリニック」の院長・原健久先生だ。「患者の気持ちを考える」というのは当然のことだが、そこまで徹底して取り組むのは珍しいだろう。1987年、突然同院の院長に就任することになったという原院長。地域に根差したクリニックへと成長するまでにはどのような経緯があったのか、日頃どのような想いを抱き診療にあたっているのか。原院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2020年4月3日)

突然の院長就任から、地域に根差した歯科医院へ

初めに、先生が歯科医師になったきっかけについて教えてください。

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もともと手先が器用でいろんなものを自作したり修理したりするのが好きだったんですよ。生まれ育った地域は川のそばだったので、船の模型を作って川に流して遊ぶこともありましたね。歯科医師をめざすきっかけは、はっきりとは覚えていませんが、当時の歯科治療がつらかったからだと思います。小学校の卒業文集にも「痛くない歯科医師になりたい」と書いてありましたね。ただ、親はいわゆる普通のサラリーマン。裕福ではなかったので、親には学費の面で負担をかけないように国公立大学の歯学部への進学を決めました。

大学卒業後はどのようなご経験を積まれたのですか?

僕は早く臨床を勉強したかったので、大学病院には残らずクリニックへの勤務を選びました。最初に勤めたのは根管治療で知られた先生がいる歯科医院で、ここではいわゆる鞄持ちのような「修行」を経験させてもらいました。その後に当院の前身である「奈良橋歯科医院」に移ります。ところが、働き始めた1年後に当時の院長から突然「クリニックを継がないか」と言われたんです。これには諸事情があったのですが、自己資金のない私に金融機関が後押ししてくれて院長を務めることになったんです。

突然の院長就任。いかがでしたか?

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診察も大変でしたが、それよりも苦労したのは労務管理です。人の上に立って指示をしたり人を雇ったりした経験がなかったので、本当に手探りでしたよ。なんとかして軌道に乗せた後、移転を考え始めました。この地域の地主さんに手紙を出すなどしていろいろ探した結果、この場所を見つけました。実は、ここは患者さんの紹介なんです。いつも通ってくれた患者さんが、不動産もやっている会社の社長さんで、たまたま「ここが空いているよ」と教えてくれたんですよ。そこからはすごく順調に話が進みましたね。改めて思いますが、僕は本当に運だけで生きていると思います。

患者の気持ちに寄り添う診療を心がける

それではクリニックの特徴について教えてください。

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まず清潔な院内であること、そして完全予約制による診察を行っていることです。入り口や待合室などはこまめに消毒しており、待合室には空気中や壁に付着したウイルスを除去するための空気清浄機を導入しています。また、治療中に使用する器具は患者さんごとに交換して常に滅菌された状態を維持しています。診察は完全予約制を導入することで、患者さんの待ち時間をなくしています。僕自身、医療機関に行くのは面倒だと感じますし待つのも苦手なんです(笑)。時間どおりに開始・終了して待合室には人がいない状態が基本ですね。患者さんも予定が立てやすいと思います。治療が早く終わることがサービスだと思っていますので、時間内でどれだけ素早く丁寧に治療するか、そしていかに治療回数を少なくできるかということをいつも考えています。

診療で心がけていることは何でしょうか?

患者さんが望まない治療はしないこと。それと費用に配慮しながら高品質のものを提供することをめざしています。以前に一度、自分自身の歯を治療したことがあるのですが、実際にやってみるとすごく難しいんですよ。治療時の振動や音、におい、痛み、圧力なども全部わかったので「これは患者さんもつらいな」と痛感しましたね。その体験をもとに、「自分がされて嫌なことはしない」ということを意識しています。また、費用と品質の両面を追求するというのは、治療の平均点を上げる意味もあります。僕自身が求めるのは「最高級で値段のとても高いもの」よりも「比較的安価だけど品質の良いもの」です。だから、患者さんに対してもそういった医療サービスを提供したいと考えているのです。

チームワークの良さもクリニックの強みと伺いました。

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そうなんです。奇跡的に5名が17年以上働いてくれているんです。家族のような関係ですね。患者さんとのコミュニケーションなど、あらゆる面で助けてもらっています。スタッフの入れ替わりがないというのは、みんな安心して働けるということかなと思っています。事務作業などもスタッフが率先してサポートをしてくれています。僕自身楽をさせてもらっていますので、その分治療に集中できますね。チームワークの良さは、情報共有の早さにも表れていると思います。例えば患者さんからお叱りを受けたときも、電話を受けた人などが全員にすぐ共有し、その患者さんの診療について振り返ります。その他にも患者さんと話したことは細かく記録しているので、その日に勤務していないスタッフでも状況を把握できます。情報共有の意識がとても高いと感じますね。

患者との印象的なエピソードがあれば教えてください。

こちらには高齢の患者さんも多く、ご夫婦で通ってくれる方々もいるわけですが、ご夫婦のうちどちらかが亡くなることも少なくありません。僕が仲良くさせてもらっていたある高齢のご夫婦も、ご主人が先に亡くなってしまったのです。ご主人が亡くなった後も奥さんを診ていたのですが、あるとき難しい治療を希望されたんです。僕自身、少し戸惑いはありましたが、生前のご主人から「奥さんをしっかり診てほしい」といったご意向を伺っていましたので、難易度が高くてもやってみようと決意しました。結果的にすごくうまく治療を進められたんです。それは僕の力だけでなく、天国のご主人が乗り移って力をかしてくれた様な感覚を覚えたのです。
そういう患者さんの想いをくみ取って治療を行うことで、僕自身も成長できるんだなと実感しましたね。

長く続けることでスタッフと患者に安心を

ところで先生の趣味やリフレッシュ方法は何かありますか?

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昔から車やバイク、オーディオが好きです。ゴージャスだけど古くて安い車を買って、自分で好きなようにメンテナンスする、という楽しみ方を15年以上続けています。患者さんや周りの人からは「またやってるの?」と言われることもよくあります(笑)。あとは、当院のホームページも自作していますし、自分でクリニックの紹介動画を作って公開などもしています。それとツーリングも好きで、仕事とは関係ない友達と出かけたり友達の別荘で宴会をしたりしますね。温泉に入ってお酒を飲んで、すごく楽しいですよ。インターネットが普及する前からいろんな人と趣味でつながって遊びに行っていましたね。

今後の展望についてお聞かせください。

なるべく長い間クリニックを続けて、スタッフの雇用の保証と患者さんへの医療サービスの提供ができればと思っています。どちらも大切なことですが、僕自身はスタッフが安心して働けないと患者さんには優しくできないと思っています。スタッフにとって職場は最も長い時間いる場所だと思うので、心地良い環境を提供したいですね。また、スタッフに対しては公的退職金制度を設けています。やはり「院長に何かあって、一生懸命働いても退職金がない」というのは厳しいと思うんですよね。あまり偉そうなことは言えませんが、スタッフには安心して長く働いてもらいたいなと思っています。

それでは最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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「こんな僕で良かったら診察にいらしてください」、ということでしょうか(笑)。あまり格好つけても仕方がないし、それは僕の性に合わないので…。というのも、僕は歯科医師として30年以上の経験がありますが、いまだに患者さんやスタッフから学ぶことばかりだと思っています。クリニックをここまで続けて来られたのも皆さんのおかげです。僕自身は立派な人間ではないので、こんな僕を気に入っていただければうれしいですね。一つだけアドバイスをさせていただくとすれば、インターネット上の「うまい言葉」には気をつけてください。「派手じゃなくても正しいこと」をきちんと言ってくれる人はたくさんいますので、そういう情報を選択できるような目を持ってほしいなと思います。