インプラント症例2(咬合力が強く、上部構造をやり直しした症例)


この患者さんは、噛む力がとても強いのです。インプラントを希望され、下顎に装着しました。
当初、陶材焼き付け冠と言う、前歯によく使う、歯の色に近い白い歯を入れました。
インプラントと骨の強度が心配でしたが、その前に、陶材がバリバリと割れてしまいました。

現在の状態です。
インプラントを行う前の、右下の部分のレントゲン画像です。

左の大臼歯は親不知です。傾いています。傾いた歯は、力のかかる方向が
悪く、歯槽膿漏も悪化し易く問題があります。矯正して、垂直に立たせることも
出来ますが、上の歯に噛む歯が無くなるのと時間等の関係でこのままで治療
を行いました。

歯の横の骨が減っているのが分かりますでしょうか?結局これが
最後まで不安材料の一つとなってしまいます。
2本のインプラントを植立した直後の写真です。

インプラント体の方向は並行が良く、間隔も均一がいいです。
この3ヶ月後、白い歯を入れました。通称メタボンと言う陶器(セラミック)の
歯です。それが、何度も壊れました。

強度にも問題があるのかもしれませんが、日頃から食いしばりがあり、
噛む力も大変強い。インプラントが駄目になる前に上部構造が持ちませんでし
た。
これが、現在の上部構造です。患者さんには、「白くて見た目も自然な歯を入れ
ます。」と約束したのですが、結局は白金加金の金色の冠を入れさせてもらい
ました。まだ入れて1年も経っていませんので、勿論無償で交換させていただき
ました。

ご自身も安心して噛めないのでは不安とのことで、金色の歯を了承してくださり
ました。奥歯の噛む力を測定しました。
 なんと 左の自前の奥歯で 70kg インプラントでも、57kg の
咬合力です。強い方です。
噛んだ状態です。

上の歯が大きくて、下の金冠の高さが小さいです。

これも、本来であれば上の歯を低くして、上下の高さのバランスを取る方がいい
のですが、奥の銀歯は下の親不知と噛んでいまして、親不知のやり直しをせずに
行いました。

少し歯垢が付いています。歯ブラシ、歯間ブラシで綺麗に磨いてもらいます。
舌を見てください。大きいです。そして、横に圧痕が残っているのが見えます。

これは、日頃、食いしばっていたり、口の中を陰圧にして唾を吸い込んでいる
証拠なんです。この食いしばり(クレンチング)は、20ー30%の方に見られます。
クレンチングは自覚症状があまりありませんので、ご自身で一度チェックしてみる
ことお勧めします。

通常の人は、一日に15分程度しか、上と下の歯が接触しませんが、このタイプの
人は何時間も噛んでいます。歯槽膿漏の悪化の速度を増大する好ましくない癖です。
夜寝ている間も噛んでいるとのことで、マウスピースを装着しました。

最初、自覚症状は無いとのことでしたが、日中、自動車の運転中と食いしばって
いるのが分かったそうです。

頭の形は、私と同じ様に、丸く、エラが張っていて、噛む筋肉が盛り上がっている。
そして、歯はすり減り、舌に圧痕がある人。元々、歯槽膿漏に強い強靱な骨を持って
いますが、ある点を境に、急激に歯槽膿漏が悪化することがあります。
定期的な検診と、熱心なブラッシング、そして噛む力のコントロールが必要です。


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